公益財団法人石井十次顕彰会(理事長・萱嶋稔)は、第30回石井十次賞に鳥取県鳥取賀市の社会福祉法人鳥取こども学園を選定。高鍋町のたかしんホール(高鍋町中央公民館)で2021年4月14日(水)、贈呈式をおこないました。
社会福祉法人鳥取こども学園は1906(明治39)年、キリスト教の教えに導かれた尾崎信太郎氏と、日本キリスト教団鳥取協会に連なる人々の協力により鳥取孤児院として創設されました。尾崎氏が孤児院創設を決意したのは日露戦争後の戦争遺児の状況を見かねたためでした。この創設に協力したのが松江市で松江育児院を設立した福田平治氏で、福田氏は石井十次と交流があり、三者はキリスト教者として同じ志を持ち、孤児の自立に尽力しました。
鳥取孤児院は1949(昭和24)年、財団法人鳥取こども学園と改称し、その後、社会福祉法人になります。そして、児童養護の質的向上を図り大舎制から小舎制へと移行し、全国の児童養護施設に先駆けて高校全入運動も開始。退所した子ども達の支援活動や、対象を若者に広げて社会的自立を支援する地域若者サポートステーション活動、退所児童のアフターケア事業活動などに携わり、就労継続支援B型事業所の開設や「全国養護施設高校生交流大会」にも関わってきました。一方、乳児院や情緒障害児短期治療施設、診療所、小学校特別支援学級分教室、中学校分校、里親支援施設などを敷地内に開設。同学園は地域福祉の拠点となっています。
こうした115年にわたる活動に対し、石井十次顕彰会は日本児童福祉の先駆者、石井十次の精神を継承、発展させるものであるとして石井十次賞の贈呈を決定しました。
藤野興一理事長は「田村一二先生、阿部志郎先生、そして黒柳徹子さんらが受賞された栄えある賞を学園にいただき、職員一同、勇気と力をもらいました。私は現在80歳ですが、100歳まで理事長としてがんばって職員と力を合わせ、学園や児童福祉の発展に尽くしたい」と喜びを語っています。