公益財団法人石井十次顕彰会(理事長・萱嶋稔)は、第26回石井十次賞に東京都葛飾区の社会福祉法人共生会理事長の福島一雄氏を選定。4月10日(月)、高鍋町中央公民館ホールで贈呈式をおこないました。
社会福祉法人共生会は昭和21年、現理事長の父、福島政一氏が私財を投じて家屋を自らの手で建て、戦災孤児養育に乗り出したことに始まります。ただ、財政的余裕はなく、ぎりぎりの生活。見かねた地域住民から資金や物資の援助を得てなんとか運営を続けていました。劇作家の菊田一夫氏はこの状況を知り、何度も取材に訪れてラジオドラマ「鐘の鳴る丘」の脚本に反映させたといいます。
やがて各地の篤志家から援助を受けるようになり法人化を実現。昭和27年、養護施設として国から認可を受け、皇族の訪問も何度か受けています。こうして施設は徐々に規模を拡大するなか、一雄氏は昭和35年、共生会の児童指導員となり、以後、副園長や施設長などを歴任。平成21年、理事長に就任し、現在は6つのグループホームをスタッフ55名とともに運営しながら入所者48人の養育に当たっています。
今回の贈呈にあたり、そうした児童福祉の長年の取り組みに加え、1グループホームを小規模にして家庭的雰囲気を大切にしていること、音楽療法や子どもを短期間預かるショートステイを通じ地域に溶け込んだ活動を続けていることを評価しました。
福島理事長は今回の受賞に際し、「いろいろな賞をいただいているが、児童福祉に携わる者として石井十次賞ほどうれしいものはありません。私が取り組んできた仕事が認められた思いがします」と喜びを語りました。