公益財団法人石井十次顕彰会(理事長・増田秀文)は第35回石井十次賞に長崎県五島市の児童養護施設奥浦慈恵院(代表:小田﨑ケイ子理事長=写真)を選定。高鍋町のたかしんホールで2026年4月15日(水)13時30分から贈呈式を行います。

 児童養護施設奥浦慈恵院は1880(明治13)年、五島でキリスト教の布教活動を行っていたパリ外国宣教会の神父マルマン師が子どもの「まびき」に心を痛め、近隣のカトリック信者の協力のもと民家を借りて養育を始めたのが起源です。明治42年には財団法人奥浦慈恵院となり、昭和23年の児童福祉法施行により認可養護施設に。同41年に社会福祉法人奥浦慈恵院となって、昨年、創設145周年を迎えました。この間、三千数百人の子どもたちが時に修道女の籍に入れられるなどして人権を回復し、施設を巣立っていきました。

 しかし、当初は公的支援がなく、修道女や従事者が行商などを行いながら自給自足で運営。住民の偏見に抗いつつ、やがて助産師活動に着手し、地域の人々も徐々に支援の動きを見せ始めます。また、子どもたちの病気や栄養失調問題を抱えていたことから医師や看護師養成に乗り出し、それが現在の五島市の医療拠点となっている聖マリア病院へつながります。

 ソーシャルワークやショートステイの先駆けとなる活動も明治時代から実施。「みんな食堂」の開催、一人暮らしの高齢者への宅食訪問、放課後居場所事業、漢字検定会場としての場所提供も行い、児童福祉の枠を超え地域に根ざした施設として市民に認知されています。
さらに特筆すべきはSNSを使って卒院者の実に9割とつながり、アフターケアに力を注いでいること。卒院者を社会から孤立させることなく可能な限り見守り続けています。

 石井十次顕彰会はこれらの活動に対し、児童福祉の先駆者・石井十次と志を同じくすると敬意を表し、石井十次賞の贈呈を決定しました。

 小田﨑理事長は「石井十次先生の賞をいただき感謝しています。先生の行動力と情熱ある姿勢を学びながら先輩たちの歩んできた道を大切にし、これからも子どもたちの幸せのためにがんばっていきます」とよろこびを語っています。